ホワイトデーには何を贈るか。
この時期贈られた男達の間ではこの話題一色になる。それまではそんな事に全く関心がなかったサスケだが今年はそうもいかない。
なにせ、長年片思いだった幼馴染からチョコをもらったのだ。ただし、義理。
サスケにしてはかなり態度に出していても全く気付かない鈍い幼馴染に、これに乗じて恋人と言う関係になりたいサスケは何を買えばいいのかずっと考えていた。
カウントダウン サスケside
「随分辛気くせー顔してんなぁ」
「…シカマルか」
「どーしたんだよ。いつも以上に眉間に皺が寄ってるぜ」
自分の眉間を指差しながらシカマルが隣の席に座った。
「…お前、部活は?」
「潰れた。ったく、もっと早く連絡だせっつんだよめんどくせーなぁ」
「で、何でここに来たんだよ」
図書館で適当な本を読んでいたサスケは、さっきからまるで頭に入ってこなかったページに適当な紙片をしおり代わりにはさんで閉じた。
「家に帰ると今ちょっと面倒なことになるんだよ。で、時間を潰そうと思ってきたら、たまたまお前を見つけた」
「そうか」
「で? どうしたんだよ」
「あ?」
「何か最近眉間に皺がよりっぱなしだろうが」
めんどくさいと言いつつよく見ていると呆れながらサスケは小さく答えた。
「…ホワイトデー」
「ホワイトデー?」
シカマルはサスケの口から出てきた予想外の言葉に場所を忘れて声を上げそうになった。
「…なんだよ、その顔」
「いや、かなり意外な単語がお前の口から出てきたから…」
「まあ、こんなことで悩むのは確かに初めてだな」
サスケはそう言ってため息を一つついた。
「そういえば、お前はどんなのを返してんだ?」
参考にすると言いながら尋ねたのだが、シカマルはやる気がなさそうに肩を竦めた。
「俺は腐れ縁から義理しかもらったことがねぇから、参考にならねぇと思うぞ」
「とりあえず、聞かせろ」
「クッキーとかの食いモンばっかだ」
「定番だな」
「義理だからそんなもんだろ」
それにしてもと、シカマルは頬杖をつきながら隣の男の顔をじっくりと眺めた。
「お前がそんな事で悩むような奴だと思わなかったぜ」
「…まあ、な」
サスケは浮かんできた幼馴染の顔に、思わずため息をついた。
ナルトは最近冷たくなった幼馴染に、少々ご立腹であった。
「折角チョコあげたのに!」
まさか、そのチョコのお返しを考えていて上の空だったなんて、ナルトは夢にも思わないだろう。
ナルトside
「な〜に怒ってんのよ、ナルト」
「あ、サクラちゃん」
素っ気ない幼馴染を不意に思い出して思わず顔をしかめてしまったナルトは、友人の声に我に返った。
「別に。怒ってないってばよ」
「うそおっしゃい。眉間に皺がよってたわよ」
「ホント?」
「そうよ。どうしたの?」
サクラに言われて、ナルトは最近つれない態度しか見せない幼馴染の不平不満を打ち明けた。
「…あんたのお隣って、あのサスけ君よね」
「そうだってば」
「世間では、それが素のように思われてるのよ?」
「…そうなんだ」
「あんたは幼馴染だから、接し方が違うのかもね。羨ましいわ〜」
そう言いながらサクラはナルトが持っていたポッキーを一本もらってくわえた。
「でもどうしたんだろ。自分からチョコ欲しいって言い出したりさー…」
その言葉に、サクラはポッキーを咀嚼するのをやめた。
「…サスケ君が? チョコを?」
「そー、おにーさんは普通に食べれる人だからあげようと思ってサスケにどんなのがいいか聞いたんだってばよ」
そしたら自分にも寄越せと強請ってこられたから一応あげたのだ。
サクラはさっきよりもゆっくりとポッキーを咀嚼しながら話を聞いていた。
「…ナルト」
「? 何?」
「多分、もうちょっとしたら元に戻ると思うわよ」
「もうちょっとって?」
「…まあ、気長に待ちなさい」
その時少々子供っぽい友人がどんな風に反応するのかが気になるサクラは、小さく「羨ましい」と呟いてもう一本ポッキーをナルトの手中から抜き取った。
「ナルト、時間あるか?」
「あるけど…何? サスケ」
「何って…今日ホワイトデーだろ。部屋においてあるからちょっと寄って行けよ」
「いいってばよ」
さて、この二人が無事恋人となれたかどうか。
それは翌日の二人を見た人ならすぐに悟れるほどだったとか。
終
さて、何を贈ったでしょうね。(逃)
シカマルとサクラの友情出演。
ナルトはサクラと同じ私立の女子高。
サスケは地元の公立の高校に行ってます。シカマルは早く帰った理由を説明するのをめんどくさがったという設定に。(ここで説明すんな)
にしても、ナルコって感じがしないな…。
一応初挑戦ナルコです。一応…。
こんなのでよければ今月いっぱい持ち帰り自由です。