写真









「わー!すっげー何枚もあるってばー!」
バラバラとぶちまけるようにナルトの前に置かれたのは鮮やかな色彩が作り出す切り取った日常の一瞬、写真だった。
写っているのは先日カカシの自宅で新しく生まれた忍犬の子供と、出産に立ち会い、手伝ったナルトだ。
記念にと何枚も撮った写真が今日現像され、任務終了後のちょっとしたお喋り時間に華を添えた。
「綺麗に撮れてるデショ」
「うん、カカシせんせーってこーゆーのは上手だよな〜」
ブレは勿論、焦点やアングルがしっかりと絞られ、仔犬達やナルトの瞬間的な表情を逃さずに撮られた写真は確かに素人という括りに入れるには勿体ないほどの出来栄えだ。
ストレートに掛け値無しの賞賛をして目を輝かせるナルトには、写真の出来は勿論だがこうして何枚も自分を撮った写真を貰うという初めての事の喜びもあった。
面映いのか、手にした写真を俯いて見入るナルトの頬はほんのりと赤味がさしている。
カカシの片方だけ出ている眠たげな目がきゅっと細まり、そして酷くだらしないほどに緩んだ。
「ナルト?俺は他にもイロイロ上手なんだけどネ」
ツンツンと跳ねている、けれど手触りのとても良い髪を込み上げる愛おしさからくしゃくしゃにしようと伸ばしたカカシの手を邪魔するように、子供にしては可愛げのない低い声が色んな意味で可愛い子の意識を奪った。
「写真一個であんまはしゃいでんじゃねぇよウスラトンカチ」
興味が無いといいつつ、任務も終わったのに紅一点のチームメイトのようにさっさと帰らなかったサスケがナルトに向けた呆れと小馬鹿にした響きを滲ませた声を放つ。
いつもならばその声の裏にある苛立ちなど露ほども気付かず、それまで意識を奪っていた事への関心をそっくりそのままサスケへの怒りへと変えるのだが、今日は少し違った。
「へ〜んだ。うっせーってばよ、サスケ。自分は貰えなかったからって拗ねてんじゃねーっての」
かなり良い機嫌のせいかサスケの物言いもあまり気にならないらしい。
手にした写真に写る仔犬達の可愛さに気分が緩く解れているのもあるのだろう。
だがそれが面白くないのか、勝手な勘違いをされたのも不本意なのかサスケは眉根を寄せていた顔を更に顰める。
「テメェじゃあるまいし誰が拗ねるか」
ふいっと顔を背けたサスケにますます気分を良くしたナルトは貰った写真の中から一枚取り出し、サスケへと差し出した。
「へへっ、これやっから機嫌なおせって。メチャクチャ可愛く撮れてるだろー?そいつ一番最後に生まれたやつでさ」
こんなに可愛い仔犬なのだ。
サスケもしっかり見たいだろうし、自分だけ貰えないのは気分も悪くなるのも分かる。
見てるだけで心がほんわりほこほことしてくる写真の一枚ぐらいあれば普段の不機嫌そうな顔も少しはマシになるだろう。
そんな事を考えナルトが差し出した写真は、一番小さな仔犬を掌で抱えて小さな頬にキスをしているナルトの写真だった。
生まれたての仔犬の守ってあげなければと思う小ささ、愛らしさがとても心温まる。
貰った写真の中でも特にオススメだと思い、ナルトは選んだのだが。
「…ああ、可愛いな」
珍しくあっさりと肯定をし、受け取ったサスケにナルトは犬達の可愛さをしっかりと認めてもらえたとより嬉しさが募って満面の笑顔になるが、サスケが言った意味合いは酷く違っていた。
サスケは初めて犬の、というか生き物の出産というものに立ち会った感動で青い瞳を潤ませ興奮で頬を赤くしつつ口付けをしているナルトが可愛いと言ったのだ。
「だろ!大事にしろよ?汚したりすんなよ?」
互いの齟齬に気付かぬまま、それでもとてもほのぼのとした二人の間の空気があったのだが。
余計な、余計すぎるサスケの一言で凍りついた。
「大丈夫だ。ラップ巻いて使う」
返せ





















(終)


アニナルEDとかわんことかそっからこんなあわわわわ!
えと、ごめんなさい!!(土下座)
アホすぎて(いつもですが;)駄文で(これもいつもですが;)失礼しました;


'06/6/4

'07/7/6