そもそも俺は面倒な事が嫌いで、世間に言う面倒臭がりだという事は常々周囲にアピールとは言わないが、それなりに、それこそ面倒臭かったが主張はしてきたつもりだ。
その成果か自分の面倒臭がりっぷりは周囲に十分とはいかないまでも認知されていると思う。
そのお陰かそうそう俺に何事かを解決させようと言ってくるやつは…まぁ少ない方だと思う。
生来のつい余計な面倒を見てしまう性格からいえば、だが。
実際問題、深刻な悩みや問題で相談されるが下らない、そう問題として重いものは相談されたりはしない方だ。
それぐらい普段から「メンドクセー」を口癖に生きているってぇのに。
なのに。
なのに何でこんな目に遭ってんだよ。
「あ。シカマル、また溜め息ついたってば〜」
吐くわ!
能天気な顔で指を指して注意してくる金髪碧眼の幼馴染に思いっきり言い返した。
心の中で。





幼馴染





「溜め息の分だけ幸せって逃げていくんだってばよ!サクラちゃんが言ってたもん。さっきから溜め息ばっかついて、良くねーってば」
誰のせいだよ、誰の!?
そんなんで幸せが逃れるなら、逃しているのは間違いなくお前だろうが!
「もうだいぶしちゃったからかなり逃げたかも」
またしても心の中のみの反論はこの幼馴染、うずまきナルトには当然ながら届かない。
「眉間のシワも凄いし。なんかサスケみてー」
出たサスケの名前に自分でも意外なほど、少し嫌な気分になる。
それを紛らわすように、相槌以外の言葉をシカマルは口にした。
「はいはい、悪うございましたね。で、そのサスケと結局どーしたいんだお前は」
途端にそれまでシカマルの溜め息の多さを上げていたナルトの口は予想通り静かになる。
そもそも初夏に入ったばかりだが、それなりに暑さを感じるようになったのにおしるこを食べたいと言ったナルトに付き合っているのは、相談を持ち掛けられたからだ。
やる気というものを全く出さず、面倒事を嫌いだと主張しているにも係わらず、ナルトはいともあっさりその主張を飛び越えてくる。
同期で幼馴染という気安さがあるのかもしれないが、今居る同じ部隊の連中でも誰一人こいつの気軽さには追いついてこれないだろう。
信頼されているといえば聞こえはいいが、大抵は脱力してしまうような内容だったりして矢張り面倒な事このうえなく溜め息が出てしまうのも仕方ない。
馬鹿みたいに真っ直ぐなあの青い眼を向けられると断れないテメー自身にも非はあると解かってはいるんだが。
「…………わかんないってば」
さっきとは違い『相談事』を話し始めた時のようにまた小さくなった声でぽつりといった。
小声だったが半ば自分の思考に耽っていたシカマルを戻す。
「わかんないじゃどうしよーもねぇだろ。お前がどうするか決めなきゃなんねぇし、お前しか決められねぇ」
「そう…だけどさぁ」
俯くと残っていたおしるこを啜りだした。
店員が出て行った客へありがとうございましたー、とお決まりの台詞を言うのが聞こえる。
これでこの店はナルトとシカマルしか残って居ない。
シカマルはぼんやりと店員がカウンターの奥へ引っ込むのを見ながら言葉の続かないナルトから持ち掛けられた『相談事』と聞くハメになった経緯を反芻していた。


上忍ともなれば明け方から始まったとはいえ、午前中などという早い時間に任務が終わるという事は滅多に無い。
突然の休暇を有意義に雲でも見て過ごそうかと、上忍待機室から出た所でナルトとばったり顔を合わせ。
「シカマル久しぶりだってば〜。ええっと…2週間ぶりぐらい?」
にかっと相変わらず人懐っこい、ある意味これが一番曲者な笑顔を向けてきたナルトに自然と口元を緩めてしまう。
「おお。ま、大体そんなもんだろ」
「シカマル、ひょっとして任務帰りだってば?」
出勤にしては少々汚れた姿に察しをつけたナルトに頷く。
「まぁな。夜明けから始まって今日はもう上がりだ」
「ふぅん。そっか……」
そう言ったきり黙ってしまうという、今日の上がり時間より珍しいナルトに訝しがりながらも、この時はまだ気にしていなかった。
「お前は今から任務か?」
「違うってば。休みなの忘れて来ちゃってさ……」
また沈黙。
沈黙。
流石にこの様子は完璧に何かあったな、と思わせるには十分すぎていて。
「………あのさ、シカマル」
ナルトとはアカデミー入学してすぐクラスが一緒になった事もあり、幼い頃からチョウジやキバ達とよく遊んだ仲で、同じ里の忍、単なる同僚というだけでなく所謂幼馴染という間柄でもある。
だからこの次に来るナルトの台詞が解かってしまった。
殆ど変わらぬ身長だが、僅かに高いシカマルをナルトは意を決したように見上げる。
「ちょっと聞いてほしーコトがあるんだけど」
解かっていたが。
そして出来れば折角出来た休暇を潰したくないとも思うが。
断れたためしがないのも良く解かっていた。
それでもナルトのリクエストにより甘味屋へと移動し、話を聞いて矢張り聞かなければ良かったと思う事になったのだが。
「オレさ、昨日まで里外の任務だったんだってば」
「この前に入るって言ってたヤツだろ」
「うん。そんで帰ってきて、任務明け祝いにサスケが奢ってくれるっつーから飲みに行って…」
「そりゃ良かったな」
「…そんで、近いからってサスケん家に泊まるコトになってさ……」
いつもなら喋りだしたら次から次へと、些か乱脈ではあるが言葉が飛び出してくるナルトが今日は本当に良く詰まる。
だが出てきた名前に、仕方ないものかと溜め息を吐きながら、無言でただ言葉を待った。
うちはサスケ。
里でもトップクラスの実力と貴重な写輪眼という血継限界の持ち主、うちは一族の生き残り。
そして裏切り者。
今サスケに関する里の中での大まかな代名詞と言ったらこんなもんか。
どんな理由であれ里を裏切る行為をしたサスケに対してそれなりに強い風当たりに対していらぬ気――本人は一向に気にしていないのだからいらぬ気だろう――を揉んだりしているのかとも思ったが違う、と頭が否定した。
サスケに対する理不尽な批判や中傷を前にすればナルトは思った通りの事を口にし、真っ向から放った者へ対立しても違うと主張するだろうし、またそうでない物はサスケ自身が解決すべき問題、と黙って奴の行動を見るだろう。
自覚せずに奴の支えとなって。
何度裏切られようと、傷つけられようと変わらず信じて、手を差し伸べてきたように。
ならサスケと直接何かあったのか。
ただ任務明けに奢って貰っただけなのなら今日のナルトがこんな風に沈む理由は無い。
あったんだろうな、こりゃ。
というかサスケが何かしたか。
一度は里を抜けたサスケだが、結局は戻ってきた。
木の葉へ、というよりはナルトのいる場所、と言った方が正しいとシカマルは思っているし実際そうだろう。
事実里抜けする前から抱いていたナルトへの執着をより強め、今では隠そうともしない。
当時から隠していてもバレバレだった事は置いておくとして。
サスケのナルトに対する想いがただのスリーマンセルの同期とか、仲間とかそういったもので納まるものではない事ぐらい解かっていた。
ナルトの近くにいれば誰だって解かる。
今一解かってないのは当事者であるナルト一人だけだ。
それでもそれなりに気付いているだろうし、ナルト自身サスケに特別な感情を持ってる。
前にサスケが好きみたいだとい本人の口から聞いたのだから間違いはねぇ。
薄々感づいていたとはいえ、打ち明けられたときに受けた鈍い衝撃と痛みは未だにシカマルの中であやふやな存在感で燻り続けている。
ずっとサスケのナルトに対する想いはともかく、ナルトに対するサスケの想いは友情、もしくは肉親に近い情だと思ってた。
オレとチョウジのような大事だが穏やかなものだと。
だがそうではなかったと知った時、湧きあがった不快感ともとれる感情は自分の感情をも知らせた。
サスケよりも先に、ずっと近くにいて、ずっと見ていた。
こいつの歩む道を。
その姿を。
後ろから支えたい。
作っていきたい。
激しいものではないが心の奥底から根を張るようにしっかりと息づいていた感情。
誰よりも大切な存在。
それを横から掻っ攫われたような気がした。
思い出して知らず溜め息が口を衝く。
「何だよ、溜め息ばっかして。まだ言ってねーじゃん」
「気にすんな。こっちのコトだ」
むぅっと唇を尖らせたナルトに自分の女々しさを情けなく思いながら誤魔化す。
「お待たせしました。白玉おしることところてん、お持ちいたしました〜」
良くか、悪くかは判断のつかないタイミングで店員が注文した品を持ってきて、二人の前に置いた。
伝票を置いて店員が下がると取り合えず、とナルトはおしるこに箸をつける。
「うま〜。久しぶりだってば」
笑みを顔中に広げ本当に美味しそうに食べるナルトを可愛いなどと些か湧いた事を思いつつ、つられる様にシカマルも笑った。こうしてナルトを見ているだけで陽が射すような気持ちになるのは何も自分やサスケだけではないはずだ。
「この暑い中よくおしるこなんて喰えるな」
「これくらい何ともねーもの。それにラーメンだって暑い時に食べんのもまた格別に美味いってばよ!」
「はいはい」
「あ、分かってねーな、シカマル」
「別に分からなくて構わねぇっつーの。めんどくせぇ」
喉の渇きを潤すための熱いお茶ならまだしも熱いしるこや、熱いラーメンを暑い時に楽しむ我慢大会のような気持ちはあまり知りたくない。
つるりと冷えたところてんを啜る。
「サスケに告白されたんだってば」
「ぐっ、げほっげほっ!」
口の中に入れたばかりのところてんを吹き出すかと思った。
何とか耐えたが、二杯酢にしたせいで喉に酢が引っかかり噎せ返る。
「わ、飛ばすな。キタネー」
誰のせいだよ!?
未だに噎せて口に出来ないから心の中で叫んだ。
咳き込みながら、一挙処理不可能だった頭の情報を徐々に消化していく。
告白、というとアレだ。
アレ以外思いつかないというか他に何があるのか知らない。
ついにしたのか、というよりまだしてなかったのかというのが強い。
サスケのあの自己中心さと強い執着を考えればとっくにしているものと思ってた。
気持ちの大きさは違えどナルトの気持ちを考えれば両想いというやつで、それに気付いていればしないはずはないだろうから案外サスケも鈍いのかもしれない。ナルトが一見単純そうに見えて、その実そうではないという事もあるんだろうが。
本能のようなもので道を選ぶかと思えば、全く理解不可能な思考回路を通した結果で行く場合もある。
そのどちらも己の心に嘘はつかないという共通点はあるが、次にどう出るか、どう思うかなんて予測不可能に等しい。
それでも近くにいれば分かる場合もあるし、こうした色恋事は隠すのが下手なほうだろうから気付いていると考えてたんだが。
それとも恋は盲目という言葉通りあのサスケですらその目を曇らせるのか。
なら、ついに我慢の限界でも超えてしまい言ってしまったというところか。
「そうかよ」
漸く収まった堰から喉を整えると、まだ些か掠れた声が出てきた。
「…うん」
「それで?」
「それで…その、最初はさ、駄目かなぁって思ったんだってば」
「はぁ!?お前も、その、好きなんだろ?」
「そ、だけど。でもサスケだから」
「血継限界か?」
「それもあるけど…そうじゃないってば」
「そうじゃない?」
「サスケってばさ、里に戻ってからやっぱそれなりにイロイロあって神経とかつかったりしてて、そんで何だかんだ言ってもスリーマンセル組んでて、今も一緒の任務とか多くて一番話しやすいオレを拠り所っての?そんな感じに思ったっていうか、カンチガイしたんじゃねーかなぁって」
「違うだろ」
即座に衝いて出た否定にナルトは苦い顔をした。
「む〜…殴られたってば」
どうやら口よりも身体で分からされたらしい。
殴られた痛みを思い出したのか、おそらく無意識にナルトは頭を擦っている。
「奴さんならやりそうだわな」
「だって、だってさぁ、ありえなくね?サスケがって。全然そんな感じしなかったし」
「…………」
全く理解出来ないという顔で首を傾げるナルトにしたくもないサスケへの同情をシカマルはしてしまった。
あれだけあからさまな執着をぶつけられていてどうしてこんな台詞が、しかもフリとか冗談ではなく、本気で言えるのか。
予想以上のナルトの鈍さに深い溜め息が腹の底から吐き出される。
「それにあいつオレに友達って言ったコトはあっても、好きとか言われたのなんか一回もねーし」
「お前だって言った事ねぇだろ」
「そんなん恥ずかしくて言えるワケねーってばよ!」
瞬時に真っ赤になった顔を隠すようにテーブルに伏せたナルトに、どうやったらここまで鈍感な忍というものが出来上がるのか心底不思議に思った。
また溜め息とセットの言葉が出る。
「サスケもそうなんじゃねーのか」
「そ…だってば?」
伏せたまま赤くした目元でちら、と上目遣いで、無駄に可愛い仕草で聞いてくるナルトに頷く。
「そっか〜。サスケでもそーゆーの照れたりすんのか」
もっとコウガンムチだと思ってた、とさらりと酷い事を言うがシカマルは否定はしない。
昔からのサスケの――ナルトストーキングと言ってもいいだろう、アレは――奇行を何度か目にしている身としては否定をするのも憚られる。
「それで告白されて結局どうしたんだよ」
ナルトのペースで話をしていたら横道に逸れて倍の時間が掛かるので早めの軌道修正を図った。
「返事してないってば」
「そらまた何で。お前が気にしてたような事は違うってはっきり言われたんだろ?」
「だって…だってアイツ信じらんねーの!オレも好きならすぐに一緒に暮らすだの、今スグいただくだの宣言しやがったんだってば!!」
先程よりももっと顔を赤くし、拳を握り締めて言い放ったナルトの前でシカマルはそれこそセメントをぶっ掛けられ、天日で丸一日乾燥させられたようにガチッガチに固まってしまった。
な、何言ってやがんだあのアホはーーーーー!!!てかコイツも何言ってやがるーーーーー!!!
目の前にいない人物といる人物、双方に向かって心の中で絶叫した。
そんなコト言ってんじゃねぇ!いくら切羽詰ってるからってそんなコト言われて超が100や200は軽くつく程晩熟で鈍感なコイツが困るのぐらい目に見えてるだろうがっ!
大体こいつもそんな話オレにすんじゃねぇ!サスケの煮詰まった行動をオレに言われてもどうしようもねーだろ!?そんな厚顔無恥の評価を十分に継続させるべき男の行動なんて!
ツッコミ、もとい言いたい事は山のようにあるのだが、悲しいかな言葉に出来ない。出しても無駄と解かってる。
面倒だ、と溜め息だけが出た。
「だからオレ、つい何も言わず逃げて家に帰っちゃってさぁ…そしたら今朝、サスケ顔も見せないで任務行くし。怒らせちまったよな、コレって」
唸りながら肌を赤く染めて頭を抱えるナルトの最後の台詞に眩暈すらした。
どこまで鈍感なんだこいつは。
「そりゃ怒ったんじゃねーだろうよ」
「え?何で?だって顔も見たくなくなったんじゃねーの?」
ああ、今すぐ天然記念物指定をしなくちゃいけねーのか、この鈍さは。
はぁぁぁぁっと疲れた息を吐き出すとシカマルはナルトを真正面から見た。
「逃げて帰ったんだよな?」
「おう」
「返事もしないで」
「出来るワケないだろ!」
「ならフラれたと思うだろ、普通」
「へ?」
「だから。告白した相手に逃げられたら誰だってフラれたと思うだろ。フラれた相手とすぐに顔を合わせるなんて嫌だろうし、ましてや任務に行ってくるなんて挨拶、普通しにくると思うか?怒ってるんじゃなくて、それこそ自分が嫌われたと落ち込んでるんだろうよ、サスケは」
「でもオレ、サスケの事嫌いじゃないってばよ?」
「言ってねーだろ」
「あ、そか」
ぽんと手を叩いて初めて気付いたナルトに、少しで良いから、それこそ欠片ほどでも良いからあの白眼を持つヒナタのような察しの良さを誰か与えてやってくれと天を仰いだ。
あからさまに呆れてますと言わんばかりのシカマルの態度にナルトは言い募る。
「だ、だってサスケがあんなコト言うから言えなかったんだってば!」
「ああ」
「サスケにも非はあるよな!?」
「そうだな」
「あんなん言われたら言いにくいってもんだし!」
「だろうよ」
「イキナリそーゆーコトって考えらんねーし!」
「まぁな」
適当な相槌を返しながらナルトの言い分も解かると、痛くなってきた頭を押さえた。
大体あのナルトバカは周りが見えなさ過ぎだ。ナルトの事に関しては普段の冷静さが一ナノグラムも残らない。
このナルトがそんな事を言われて素直に気持ちを言えるわけがないだろう。
ほんの少しでも考えれば解かる事なのに、何故良い出来の筈の頭は回らないのか。
この凶悪なまでの鈍さに切羽詰るのも理解出来なくはないが、もう少しナルトの気持ちを汲んでやれと思う。
改めて自己中心的な奴だとまた溜め息が落ちる。
そんな相手を選んでしまうナルトにも。
「あ。シカマル、また溜め息ついたってば〜」
幾度も零す羽目になった原因の片方に能天気な声でそう言われ、シカマルは深い皺を眉間に刻んだ。


「サスケとこのまま顔も合わせらんねーのはヤだけど、その、サスケの言うよーなコトはまだ考えらんねぇし…どうしたらいいのかわかんねぇ」
もうすぐ二十代に突入しようかという健全な男子とは思えないこの晩熟っぷりもどうかと思うが、ナルトだからな、と妙な納得もしてしまう。
「ま、取り敢えずどうするか考えてりゃいーんじゃねぇか。そうでなきゃ始まんねーだろ」
「…それもそーかも」
「じゃねぇ?」
「うん」
難しくしていた顔をぱんっと両手で叩くと、残ったおしるこを一気に飲み干した。
「アリガトな、シカマル」
「別に俺は何もしてねぇだろ」
「でも、十分聞いてくれたし。シカマルに話聞いてもらうのってすげースッキリするっていうか、シカマルといると落ち着くんだってば」
いつもの向日葵のような笑顔ではなく、それでも明るい、はにかんだような笑みで齎された言葉。
これに弱い。
きっとこの先もこれは変わらないだろう。
ナルトが笑うように。
ナルトが望む道を作り、いけるように。
そう願ってしまうから。
サスケの事に限らず、ナルトが何かあればきっと頭も身体も動いてしまう。
目的の為の手段を講じ、障害を限りなく排除するための手を考え、実行する。
取り敢えず今はこの後もう少ししたら任務から帰るはずのサスケに会って、それとなくナルトの気持ちを伝えた方がいいのか。
でなければずっとナルトを避けそうだし、そうなればまたナルトの元気がなくなるのも目に見えている。
ナルトと二人きりでお茶をしたと知られれば多少睨まれるとは思うが、内容を聞けばそれどころではなくなるだろう。
そこまで考えてシカマルはどっと疲れた。
将棋以外でまだ先の、起こりうるかどうかも分からない事を考え、気疲れをおこすのは馬鹿らしいと思いながらも、確率は高いとも思う。
そしてその時巻き込まれる自分と自分が取ってしまう行動、やらなければならないとなってしまった状況を頭の中に並べて思うのだ。
ああ、面倒くせぇ。
それでも。
いくら面倒臭がりの自分でも、この『幼馴染』に関する事は面倒臭がってばかりはいられねぇ。
笑って欲しいから。
一番面倒なのは、自分自身だと解かってる。
この決して切り離せ無い、どうする事も出来ない部分。
ああ、やっぱり面倒くせぇ。










(終)


ギャグにもシリアスにもなりそこねたサスナル前提シカ→ナル
きっと一生シカマルはナルトに何も言わずこうやって苦労しょいこんでサスケに睨まれて過ごすかと。報われねぇ…!シカナル大好きです(黙れ)


'05/6/5