いちご詐欺










甘酸っぱい芳香で小さな鼻を酔わせる、赤いつやつやとした果肉が見るからに美味しそうな苺がナルトの前に置かれていた。
本日のおやつである大好物の苺にナルトの透明な青い目がきらきらと音がしそうなほど輝いている。
イルカ先生と皆で「いただきます」の挨拶をしたナルトはすぐに一個だけでいっぱいになる小さな手で苺をつかみ、小さなお口へと持っていった。
しゃく、と瑞々しい音がたつ。
練乳をつけずとも十分に甘い、苺本来の自然な甘酸っぱさにナルトの頬が蕩けた。
小ぶりの歯がかじった苺の、赤みを帯びた白い果肉からもじゅわりと滴る甘い果汁がナルトのほっぺの中で広がり、幸せな気持ちになる。 「やっぱイチゴはウマイってばよ!」
苺を賞賛するナルトのまんまるい瞳とほっぺがつやつやと輝き、にこぉっと満面の笑みを広げて苺をほお張るナルトをじっと隣の席で見ているため、ずっと止まっているサスケにナルトが気づいたのは自分の皿にある苺があと1つ2つになった頃だった。
「さすけイチゴいらないの?」
舌の周りがまだ少し幼いナルトはサスケと切れのよい発音が出来ず、言葉も父親に教えられたもので柔らかい。
それがまた大人達にはとても愛らしく映るのだが、口調はともかく自分の名前をしっかりと呼んでもらいたいと同じ年で片思い中のサスケは思っている。
それでも入園したてのしゃしゅけ、だった頃からは随分な進歩で、躍起になって言い聞かせた成果でそれに取りあえず満足しているので今は注意などしなかった。
苺に夢中だったのに突然こちらを振り向いたナルトに少しどきどきとしながらサスケは頬を赤くさせたまま答えようと口を開いた。
子供らしからずあまり甘いものは好きではないが、甘すぎるのが苦手なだけであって苺などの果物やしつこくない甘さのお菓子ならサスケも好きだ。
いらなくない、と言おうとしてふ、と名案を思いつく。
これならずっと言おうとしていた想いを今日こそいえるのではないかと。
思いついた名案を、急に脈を早めた心臓が煩かったし苦しかったが、サスケは言った。
「……いらないわけじゃないけど、お前が、ヨ、ヨメになるなら、やってもいいぜ」
「?くれるの、さすけ?」
だが精一杯の告白は振り絞った勇気があっても今一つ肝心なところの声が小さく聞こえなかったナルトは、ただ苺を貰えそうだというその一点だけに反応して、期待に輝かせた青い瞳で嬉しそうな笑みをサスケに向けた。
真正面からのナルトの笑顔は、普段つい気を引きたくていじわるばかりしているサスケが滅多に見れるものではなく、ひときわ大きくサスケの心臓が跳ねる。
どくどくどくと速まる胸から血が顔に登り、耳まで真っ赤にさせ、喉を干上がらせた。
「やる。ヨ、ヨメになるならな…」
「ありがとうってば!」
こくり、と頷いたサスケの声は小さく、肝心な部分が聞き取れなかったナルトはただ単に苺を貰えるのだとしか思っていない。
ナルトが嫁入りの話など聞いてないと無邪気に告げ、サスケを落ち込ませるのはこの翌日。





















(終)


某たまたまに押し付けさせてもらいたいとです…!
またまた幼稚園児萌えが到来でどうしたら良いやら分かりません、先生!
園児サスナルばんざーい!!
妖精さんの存在を信じてるそんなピュア100%の瞳を持った園児ナルトが可愛すぎてたまりません…!
毎日届けられるイチゴを齧ってればいいと思う!
イチゴって齧るとえっろいよNE★(ノンピュア1000%)
あと、きっとイチゴシーズン限定で木の葉幼稚園にはイチゴ詐欺(被害者:うちはサスケ一名)が勃発しているものと思われます…!




某ユノたまとメセ(かチャット)で、サッケはいつもいつもナルトさんのピュア100%の無自覚詐欺により、いちごをせっせと貢いでるといいよ!と出たネタで、園児サスナル大フィーバーでした(*´Д`*)
駄文でいつもいつもすみません;
読んで下さってありがとうございました!


'07/4/15

'07/7/6